NEW:2017/03/19

嫌われる勇気

 フロイト、ユングと並ぶ「心理学の3巨頭」の1人とされるオーストリア出身の心理学者アルフレッド・アドラー(1870~1937年)の「アドラー心理学」の中核をなす自己啓発のための概念。「すべての悩みは対人関係の悩みである」とした上で、人は過去の原因によって突き動かされるのではなく、今目的に沿って生きている。人生とはいつでも選択可能なものであり、過去につらいことがあったとしても、これからどう生きるかには関係がない」として、他人が自分をどう見ているかを意識せず前向きに生きることが大切だと提唱する。アドラー心理学はこのことから「勇気の心理学」と称されることもある。

 日本ではあまり知られていなかったが、哲学者で心理学者の岸見一郎氏がライターの古賀史健氏との共著でアドラー心理学を分かりやすく紹介した「嫌われる勇気 自己啓発の源流『アドラー』の教え」(ダイヤモンド社)がベストセラーとなり、それをべースにしたテレビドラマ「嫌われる勇気」が2017年1月から3月まで放映された。このドラマでは、同僚や上司からの評判や指示は気にせず事件を解決していく、組織になじまない一匹狼タイプで「嫌われる勇気」を持った女性刑事を主人公にした。

 この女性刑事のキャラクター設定に対し、日本アドラー心理学会が「アドラー心理学における一般的な理解とはかなり異なっている」と指摘し、テレビ局に放送中止もしくは台本の書き換えを求めて要望書を出す一幕もあったが、ドラマは予定通り最終回まで放映された。(Ando,2017/3)





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ニセ電話詐欺

 身元を偽り他人になりすまして電話をかけ、息子など家族になりすまして身内の人間だと信じ込ませて金銭をだまし取る詐欺の手口。息子になりすまして「オレだけど」などと話しかけることが多く、警察庁が「特殊詐欺」として分類する詐欺の手口の1つで、わが子を思う親心につけこむのが特徴。高齢者が狙われることが多く、年間の被害総額が数百億円にも上ることから深刻な社会問題となっている。
 息子になりすまして「オレだけど」と話しかけることから、当初は「オレオレ詐欺」と呼ばれたが、娘を名乗って「私だけど」と話しかけて指定した金融機関の口座に現金を振り込ませる手口が増えて実態に合わなくなったため、「振り込め詐欺」という呼称が一般化した。
 被害防止啓発のため、警視庁が2013年に詐欺名称を公募した際には「母さん助けて詐欺」が最優秀賞に選ばれたが、新聞などマスメディアが使用しなかったこともあり定着しなかった。
 茨城県警は2017年7月に名称を「ニセ電話詐欺」に統一した。金をだまし取る口実は、「会社の金に手を付けてしまった。今すぐ現金で穴埋めしないと逮捕される」「異性との交際でトラブルになった、金で解決しないと生命が危険」などと、自らに非にがあるように装って親の不安をあおった上で、「会社の上司」「警察官」「弁護士」「暴力団組員」などを名乗る人物までが電話に出てくるなど、組織犯罪化し、巧妙化している。

 警察庁2017年2月発表の警察白書では、2016年の年間被害総額は406億3千万円で、前年より75億7千万円減って2年連続の減少となったが、把握した被害件数は8年連続の増加だった。手口別では、医療費などの還付を受けられると偽って現金自動預払機(ATM)に誘導して電話による指示に従って振り込み操作をさせる「還付金詐欺」が急増。架空の投資話を持ちかけたり、「保険の還付金が入る」などと持ちかけるニセ還付金や「金儲けになる」といったニセ投資話詐欺が増えた。
 警察庁や全国各地の警察署では警戒を呼び掛けているが、被害に遭わないためには、次のようなポイントを押さえておきたい。
(1)名乗られた本人に電話をして直接、事実確認をする
(2)家族の間で電話で通話する際の合言葉を決めておく
(3)簡単にお金が得られる”うまい話”には乗らない
(4)「携帯電話をなくした」「風邪をひいて声がおかしい」といった言い訳は本人ではないことを覚られないための”予防線”の可能性が高いので疑ってかかる
 このほか、不審な電話があった時には、だまされたふりをして電話を切った後、警察に通報し、「受け子」と呼ばれる詐欺犯が自宅などに現金を受け取りに来た際に取り押さえる「だまされたふり作戦」が成果を挙げている。(Ando,2017/3)

内心の処罰

 犯罪計画を心の中で考えたり、他人と話し合っただけで処罰対象となること。わが国の刑法は犯罪を実行(既遂)か、結果は生じていないものの、犯罪に着手(未遂)した場合に処罰することを原則としている。これに対して、政府が創設を検討している「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「組織犯罪処罰法改正案」では、捜査機関の裁量で解釈が拡大され、内心の処罰も可能になり得るとして、日本弁護士連合会(日弁連)は、共謀罪が成立した場合、現在の刑法体系の原則である犯罪行為の結果が発生した「既遂」の処罰よりもはるか前段階に、刑罰権が発動することになるとして問題視している。過去に共謀罪が国会審議された際には「内心の処罰」は表現の自由を脅かすなどの批判が強く、廃案になる要因になった。(Ando,2017/3)

フィルターバブル

 フィルターバブル(filter bubble)とは、情報が「フィルター」を通して提供され、その理解が自分自身の文化的・思想的な皮膜(バブル)の中に閉じこもる状況を表した言葉で、2011年イーライ・パリザーによって同名の著書として公開された。

 インターネット検索で得られる情報が、フィルターとしてユーザの嗜好や検索履歴に合わせカスタマイズ表示され、得られる情報自体に偏りが生じてしまうことや、それがユーザによる「確証バイアス」によって、さらに加速される状況を表す。
 「確証バイアス」とは心理学用語でいう認知バイアスの一種で、仮説や信念の検証時、支持する情報ばかりを集め、反証される情報を無視してしまう傾向のこと。

 イーライ・パリザー(Eli pariser)はインターネット事業家で、2011年の著書出版の翌年「Upworthy(アップワーシー)」というインターネットメディアの共同創業者の1人。オンラインニュースサイトとして、同姓婚や世界の貧困問題などリベラルで社会意義のある情報をミッションに掲げ、ソーシャルメディア上でシェアさせる事に重点を置き展開し、14ヶ月で3000万UUという爆発的なスピードで成長した。日本でも広まっているキュレーションメディアやバイラルメディアの元祖でもある。

 著書は2011年に米国で出版された後、翌年日本語訳版として邦題「閉じこもるインターネット」として発売され、そして2016年に文庫化される際に元の言葉「フィルターバブル」に変更されれいる。パリザーは同著の中で、好みに合わせたカスタマイズは「フィルターに囲まれた世界」をつくり、視野を広める情報に触れる機会を失い、結果的に自分のためにもならず、民主主義にも悪影響を及ぼすことになる、と警鐘を鳴らしている。(2017/2,KK)

舌下免疫療法

 花粉症などアレルギー疾患の免疫療法の1つ。症状が出た時に症状を抑える対症療法と異なり、アレルギーの原因物質であるアレルゲンを少しずつ体内に取り入れて体質を改善して免疫を作ることによって根本治療を目指す最新の治療法。薬剤投与は注射ではなく、微量のアレルゲンが入ったエキス薬剤を舌の下に垂らして口の中にふくんだ後に飲み込んで体内に取り入れる(エキス薬剤が液体の場合、パンに染み込ませるなどして舌の下に含んだ後に飲み込む方法もある)。このため「舌下」と呼ばれる。世界保健機関(WHO)の見解書に「アレルギー疾患を根治できる可能性のある治療法」と記述されたこともあって注目されている。

 スギ花粉の場合、国内では鳥居薬品の「シダトレン」が、12歳以上の患者に限定して保険適応になっている。注射ではなく自分で服用できるので頻繁に通院する必要がないのも大きなメリットと言える。しかし継続が重要で、服用を一旦中止してしまうと最初からやり直しになるため、定期的に確実に通院しなければならない。服用は毎日1回、エキス剤を舌下に垂らし、2~3年(またはそれ以上)かけて徐々に体を慣らしていく。

 受診の注意点としては、スギ花粉をアレルゲンとする花粉症を対象疾患としているため、血液検査によるスギ花粉の抗体が陽性だというデータが必要。事前にアレルギー検査を受けておくか、初診時には血液検査から開始する必要がある。血液検査は結果が出るまで通常数日から1週間程かかる。

 治療開始の注意点としては、花粉が飛散している時期はアレルゲンに対する体の反応が過敏になっているため、スギ花粉が飛散している時期を避けて治療を開始すること。投薬開始時にはアナフィラキシーショックの可能性もあり得るため初回は特に慎重に様子をみる必要があること。また併用薬の制限があることなどがあげられる。例えば免疫に影響があるステロイド系の薬との併用や、ダニをアレルゲンとするアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法を同時に行うことはできない(このアレルギー性鼻炎はヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニをアレルゲンとするもので、海外からの輸入錠剤が使われる)。

効果を感じられる確率は高く、完治を含む7~8割の患者で何らかの効果が実感されているという報告もあるが、全く効果が無い場合もあるので過度な期待は禁物だ。

キイトルーダ

 免疫の働きを利用する新型がん治療薬。一般名は「ペムブロリズマブ」。厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が2017年2月に保険適用を承認した。免疫の働きを利用するがん治療薬の保険適応の承認は、類似作用のある「オプジーボ(小野薬品工業)」に次いで国内2例目。キイトルーダは米国の製薬大手メルクが開発し、国内では2016年9月、日本法人MSDからの製造販売が承認された。

 一部の皮膚がん(悪性黒色腫)と肺がんに対し保険が使える。薬価は100ミリグラム1瓶が約41万円で、1日薬価に換算するとおよそ4万円弱。仮に1年間使い続けたとすると年1427万円になる計算。オプジーボと同じ効果が期待されることから、1日当たりの薬価が同水準になるように設定された。中医協は適正使用を促す指針案も議論して、オプジーボが他の抗がん剤が効かなかった患者を対象にするのに対し、他の抗がん剤治療を経験していない患者にも使用可能とした。ただし、事前に効果がある可能性を診断薬で確認するという条件を付けた。(安藤,2017/2)

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 「時事用語のABC」は、2000年8月に松山大学・檀研究室の社会活動としてスタート。「まぐまぐ」のメールマガジンで配信したところ、わかりやすく丁寧な最新時事用語の解説が好評をいただき、約3万人の読者を数えるまでになりました。
 2012年から辞書サイト「JLogos」を運営する株式会社エアが事業を継承。匿名のブログや「まとめサイト」と異なり、各方面の専門家やプロのライターによるライティングで、速報性とクオリティーを両立しながら、ニュースで話題のキーワードの意味や背景などを発信していきます。

【編集委員】
・小島孝治(株式会社エア代表取締役社長)
・南俊基(公認会計士、税理士、日本証券アナリスト協会検定会員):監査法人トーマツ、JASDAQ上場企業のバイオベンチャー創業期からの役員経験、財務省理財局にて財政投融資の調査業務に従事し、現在も財務省顧問として参画。南公認会計士事務所の所長として、メーカー、小売業、システム会社、医療機関、バイオベンチャー等に対して、営業戦略、イノベーション戦略、財務戦略、コスト管理、事業再編に関するコンサルティングを提供している。併せて、企業向けに、会計、財務等の研修を数多く行っている。

※そのほか新聞記者経験者をはじめ、様々な専門家からの寄稿によって成り立っております。

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