NEW:2017/07/06

偽装質屋

 質屋の体を装った、実質は違法の闇金業者のこと。質屋営業法で年109.5%と法的に認められている金利上限をたてに、実質高利の貸金業者として営業しているためトラブルが後をたたず、多重債務者を増やすなど社会問題になっている。通常貸金業者は貸金業法により年利20%が上限とされているため、法の隙間を恣意的にかいくぐり法外な金利としている。

 しかし実質が貸金目的のため、質入れ品(質草)を問わない場合が多く(ゴミでも何でも可)、シニアの場合年金を担保として、実質年金振込み日の直後に引き落とす手続きをさせるなどの手口が横行している。
 無価値の質入れ品で金銭を貸す行為は質屋営業ではなく、貸金業法に違反するため摘発対象となるが、借りた側も、返済するために再び借りなければならないという悪循環により後を絶たない。

 そもそも質屋営業法で109.5%と高金利が認められているのは、品物の鑑定料、質草の保管料(金庫などの設置が義務付けられている)や売却費用、盗品だった場合の押収リスクなどを考慮して定められている。

 偽装質屋は確実に回収できる「年金」を担保にとる場合が多いため、国民生活センターに報告された被害状況からもほとんどがシニアだ。年金を担保にすることは労災保険法により原則禁止されているが、独立行政法人福祉医療機構の公的年金担保融資制度を利用することは認められているため、必要に応じて相談の上対応したい。

 対策としては「偽装質屋からは借りない」に尽きるが、質屋営業の許可を得ている場合もあるので注意が必要。見分ける特徴としては「質草は何でも良い」や「返済は年金口座から自動引き落とし」など特徴があり、この行為自体がそもそも違法となる。

 もし既に多重債務に陥っている場合は、自治体の多重債務相談窓口や消費生活センター、弁護士の無料相談など、まずは社会のセーフティネットを利用したい。





新着5キーワード

遺言控除

 有効な遺言書による相続となった場合、相続税の基礎控除額に上乗せして控除される仕組み。自由民主党の「家族の絆を守る特命委員会」によって提案され、早ければ2017年度中の実施を目指している。控除額は数百万円程度とみられ、仮に200万円の場合、相続税額が20万円(10%)~110万円(最高税率:55%)減税となる。相続税額が基礎控除枠内に収まる場合は関係ない。

 現在の相続税課税対象者のうち、有効な遺言書がある場合は2~3割にとどまる。遺言書が無いために親族間で遺産を争う紛争に発展したり、遺産分割協議が進まず、結果不動産処分ができず空き家として放置されるなどの社会問題にもつながっている。

 相続税の基礎控除額は、2015年の税制改革で、それまで(5000万円+法定相続人数×1000万円)の6割(3000万円+法定相続人の数×600万円)に減額となったため、相続税課税対象者が大幅に増える。たとえば両親の何れかが亡くなる1次相続時、子が4人いる場合の基礎控除額総額は、1億円から6000万円まで下がる(新たに4000万円分が課税対象となる)。相続税は、相続発生時の10か月後までに現金で納付する必要があるため、その間にすべての相続財産を把握し、不動産がある場合はその価値を算出し、相続対象者への分割を具体的に決めなければならない。この過程において、遺言書のあるなしでスムーズにいくかどうか決まる場合もあり、遺言書の存在意義がある。

 ただし、遺言書には法的に定められた形式があり、自筆証書遺言の場合はいつでも簡単に作成・更新できるが、自らが自筆しなければならない上、日付や記載事項を間違うと無効とされる場合もある。またその存在や有効性について争われる場合もあり管理には注意が必要だ。また公正証書遺言の場合は効力については問題ない場合も多いが、費用が発生するほか、書き直しのたびに手間がかかるという問題もある。

 遺言は、自分の死後に有効になるため、本人が準備に消極的な場合もある。家族が遺言の作成を促すことで、家族関係が壊れる場合もあるため、親に勧める場合は注意が必要だ。(k,2017/9)

フィルターバブル

 情報が「フィルター(filter)」を通して提供され、その理解が自分自身の文化的・思想的な皮膜(bubble)の中に閉じこもる状況を表した言葉で、2011年にインターネット事業家イーライ・パリザーによって同名の著書として公開された。

 インターネット検索で得られる情報が、フィルターとしてユーザの嗜好や検索履歴に合わせてカスタマイズ表示され、得られる情報自体に偏りが生じてしまうことや、それがユーザによる「確証バイアス」によって、さらに加速される状況を表す。
 「確証バイアス」とは心理学用語でいう認知バイアスの一種で、仮説や信念の検証時、自分が支持する情報ばかりを集め、反証される情報を無視してしまう傾向のこと。

 イーライ・パリザー(Eli pariser)はインターネット事業家で、2011年の著書出版の翌年に「Upworthy(アップワーシー)」というインターネットメディアの共同創業者の1人。オンラインニュースサイトとして、同姓婚や世界の貧困問題などリベラルで社会意義のある情報の提供をミッションに掲げ、ソーシャルメディア上でシェアさせる事に重点を置いて展開し、14ヵ月で3000万UUという爆発的なスピードで成長した。日本でも広まっているキュレーションメディアやバイラルメディアの元祖でもある。

 著書は2011年に米国で出版された後、翌年日本語訳版として邦題「閉じこもるインターネット」として発売され、そして2016年に文庫化される際に元の言葉「フィルターバブル」に変更されている。パリザーは同著の中で、好みに合わせたカスタマイズは「フィルターに囲まれた世界」をつくり、視野を広める情報に触れる機会を失い、結果的に自分のためにもならず、民主主義にも悪影響を及ぼすことになる、と警鐘を鳴らしている。(2017/2,KK)

舌下免疫療法

 花粉症などアレルギー疾患の免疫療法の1つ。症状が出た時に症状を抑える対症療法と異なり、アレルギーの原因物質であるアレルゲンを少しずつ体内に取り入れて体質を改善して免疫を作ることによって根本治療を目指す最新の治療法。薬剤投与は注射ではなく、微量のアレルゲンが入ったエキス薬剤を舌の下に垂らして口の中にふくんだ後に飲み込んで体内に取り入れる(エキス薬剤が液体の場合、パンに染み込ませるなどして舌の下に含んだ後に飲み込む方法もある)。このため「舌下」と呼ばれる。世界保健機関(WHO)の見解書に「アレルギー疾患を根治できる可能性のある治療法」と記述されたこともあって注目されている。

 スギ花粉の場合、国内では鳥居薬品の「シダトレン」が、12歳以上の患者に限定して保険適応になっている。注射ではなく自分で服用できるので頻繁に通院する必要がないのも大きなメリットと言える。しかし継続が重要で、服用を一旦中止してしまうと最初からやり直しになるため、定期的に確実に通院しなければならない。服用は毎日1回、エキス剤を舌下に垂らし、2~3年(またはそれ以上)かけて徐々に体を慣らしていく。

 受診の注意点としては、スギ花粉をアレルゲンとする花粉症を対象疾患としているため、血液検査によるスギ花粉の抗体が陽性だというデータが必要。事前にアレルギー検査を受けておくか、初診時には血液検査から開始する必要がある。血液検査は結果が出るまで通常数日から1週間程かかる。

 治療開始の注意点としては、花粉が飛散している時期はアレルゲンに対する体の反応が過敏になっているため、スギ花粉が飛散している時期を避けて治療を開始すること。投薬開始時にはアナフィラキシーショックの可能性もあり得るため初回は特に慎重に様子をみる必要があること。また併用薬の制限があることなどがあげられる。例えば免疫に影響があるステロイド系の薬との併用や、ダニをアレルゲンとするアレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法を同時に行うことはできない(このアレルギー性鼻炎はヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニをアレルゲンとするもので、海外からの輸入錠剤が使われる)。

効果を感じられる確率は高く、完治を含む7~8割の患者で何らかの効果が実感されているという報告もあるが、全く効果が無い場合もあるので過度な期待は禁物だ。

キイトルーダ

 免疫の働きを利用する新型がん治療薬。一般名は「ペムブロリズマブ」。厚生労働大臣の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)が2017年2月に保険適用を承認した。免疫の働きを利用するがん治療薬の保険適応の承認は、類似作用のある「オプジーボ(小野薬品工業)」に次いで国内2例目。キイトルーダは米国の製薬大手メルクが開発し、国内では2016年9月、日本法人MSDからの製造販売が承認された。

 一部の皮膚がん(悪性黒色腫)と肺がんに対し保険が使える。薬価は100ミリグラム1瓶が約41万円で、1日薬価に換算するとおよそ4万円弱。仮に1年間使い続けたとすると年1427万円になる計算。オプジーボと同じ効果が期待されることから、1日当たりの薬価が同水準になるように設定された。中医協は適正使用を促す指針案も議論して、オプジーボが他の抗がん剤が効かなかった患者を対象にするのに対し、他の抗がん剤治療を経験していない患者にも使用可能とした。ただし、事前に効果がある可能性を診断薬で確認するという条件を付けた。(安藤,2017/2)

忘れられる権利

 インターネット上に残る、自己に不都合な個人情報を検索できないよう求める権利。「拡大」や「炎上」によって侵害されたプライバシー救済のため、ヤフーやグーグルなどの検索エンジンから、ネット上の個人情報を削除してもらうよう検索事業者に要請できるとする権利。

 2009年にフランスで初めて使われた概念で、欧州連合((EU)の最高裁判所に当たる欧州司法裁判所がこの権利を認めたことから、ヨーロッパ発祥の概念とされる。

 これに対して米国では「真実をネット上に公表することにストップをかけるのは表現の自由に反する」との主張が強く、「忘れられる権利」の是非については見解が別れている。

 日本では、グーグルに対し、自分の逮捕歴に関する報道内容が表示されないよう記事の削除を男性が求めた裁判で、最高裁は2017年1月31日付の決定で、検索結果を表示する表現の自由と比べて「プライバシーの保護が明らかに優越する場合に限って削除できる」として、削除には厳格な条件を満たす必要があるとする判断基準を初めて示した。

 最高裁はこの決定の中で、検索結果で表示される情報の収集や整理は自動的に行われるが、そのプログラムは検索事業者の方針で作られるため、「表現行為の側面がある」として事業者に表現の自由の利益を認めたが、2014年にEUが認めた「忘れられる権利」には触れなかった。

 個人のプライバシーを含む記事などの検索結果を削除できるかどうかの基準については
(1)事実の性質や内容
(2)事実が伝達される範囲と具体的被害の程度
(3)その人の社会的地位や影響力
(4)記事の目的や意義

などとして、事実を公表されないことによるプライバシー保護の利益が「事業者の表現の自由を明らかに上回る場合には、削除できる」との判断を示した。(Ando,2017/1)

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 「時事用語のABC」は、2000年8月に松山大学・檀研究室の社会活動としてスタート。「まぐまぐ」のメールマガジンで配信したところ、わかりやすく丁寧な最新時事用語の解説が好評をいただき、約3万人の読者を数えるまでになりました。
 2012年から辞書サイト「JLogos」を運営する株式会社エアが事業を継承。匿名のブログや「まとめサイト」と異なり、各方面の専門家やプロのライターによるライティングで、速報性とクオリティーを両立しながら、ニュースで話題のキーワードの意味や背景などを発信していきます。

【編集委員】
・小島孝治(株式会社エア代表取締役社長)
・南俊基(公認会計士、税理士、日本証券アナリスト協会検定会員):監査法人トーマツ、JASDAQ上場企業のバイオベンチャー創業期からの役員経験、財務省理財局にて財政投融資の調査業務に従事し、現在も財務省顧問として参画。南公認会計士事務所の所長として、メーカー、小売業、システム会社、医療機関、バイオベンチャー等に対して、営業戦略、イノベーション戦略、財務戦略、コスト管理、事業再編に関するコンサルティングを提供している。併せて、企業向けに、会計、財務等の研修を数多く行っている。

※そのほか新聞記者経験者をはじめ、様々な専門家からの寄稿によって成り立っております。

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